第54回 桜花賞 1994年
1994年の桜花賞で単勝1番人気に支持されたのはローブモンタント。前年1993年の阪神3歳牝馬ステークス2着馬で、前走はエルフィンステークスで優勝。デビューから3戦2勝と底を見せていない馬だった。2番人気はノーザンプリンセス。こちらも前走のフローラステークスを制して3戦2勝。ロープモンタント同様、まだ底は見せていない。
そして3番人気はオグリローマンだった。ブレイヴェストローマン産駒だが、この馬の母はホワイトナルビー。つまりオグリキャップの半妹にあたる。兄オグリキャップと同様に笠松競馬場でデビュー。7戦6勝2着1回の成績で1994年にJRAに移籍した。移籍初戦のエルフィンステークスでは9着と敗れたが、続くチューリップ賞では2着。オグリキャップ同様、中央競馬でも活躍できるのではないか、との期待が高まる。
レースはスリーコースがハナに立ち、メローフルーツ、ローブモンタントが追いかける形に。ノーザンプリンセスは中団からの競馬。オグリローマンは好スタートを決めたものの、徐々にポジションを下げている。最後の直線に入ったところで馬群の内側からツィンクルブライドがスルスルと抜け出してくる。ローブモンタントは競り落とされ、ノーザンプリンセスは直線に入っても伸びる気配はない。ツィンクルブライドで決まるのか?次の瞬間、驚くべき光景が待ち構えていた。
馬群の外から1頭、猛然と追い込んでくる馬がいた。オグリローマンである。次元の違う脚で追い込んだオグリローマンはツィンクルブライドと並ぶ形でゴール板を駆け抜けた。写真判定の結果、軍配はハナ差でオグリローマンに。オグリキャップが現役時代に見せたあの強烈な末脚は妹にもしっかりと受け継がれていたのである。鞍上の武豊もレース後、こんなコメントを残した「オグリキャップを思い出しました」。オグリキャップで競馬を知ったという競馬ファンは少なくない。だからこそ、このオグリローマンの勝利を「オグリ伝説第2章」と呼ぶ人も現れた。ホワイトナルビーの仔はきっと、競馬ファンの心を動かす力を持っているに違いない。